祖母力

2017/12/05

祖母力 うばぢから オシムが心酔した男の行動哲学
祖母力 うばぢから オシムが心酔した男の行動哲学
 イビツァ・オシム氏を日本に呼んだ祖母井秀隆氏。本書の副題である「オシムが心酔した男の行動哲学」の通り、本書は祖母井氏の幼少のころからの思いからオシムとの出会い、一緒に過ごした時期、そして別々に仕事をするようになってからを自ら綴った、自伝的書である。単なる行動に焦点を当てた自伝と違い、その時々の考え方や意識の持ち方などにスポットを当てている点が特に興味深い。


 節度あるオトナの自伝であるせいか、自分自身に対して必要以上に「ダメだった」「できなかった」と言っているきらいはあるので、その点はふんだんに行間を読む必要があろう。たとえば高校からサッカーを始めて「逃げ出したビリになった子」が「県の選抜選手として多少は名を知られるようになっていた僕」になるまでには相当の努力も苦労もあったはずだが、こういったものは一切書かれていない。まるでちょっとした努力だけでスーパーマンであるかのように「すごい人」になってしまったかのようだが、ここに書かれていない点、すなわち単なる「人並みならぬ努力」(これだけでもすごい)だけでなく、並々ならぬ工夫と試行錯誤を繰り返してきた結果であろうことは、想像力を豊かにして本書に向き合いたいところだ。


 本書に描かれる氏はとにかく行動する。人に会う。もう少し委細検討してから行動したほうがいいのではないかと思うくらい、いきなり海外に行ってしまったりいきなりトップに連絡を入れたりする人物として描かれている。
 2軍チームを1軍よりも強くしてしまった話などは小気味よい。


 行動のあまりの突拍子のなさに、きっと仲良くなれるタイプではないような気がするが、常に真剣に物事と向き合うその姿勢に共感する部分が多かった。
 読みやすい本なので、1,2時間程度空き時間が取れるならば目を通してみて損はない一冊だと思う。





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